2018 年 59 巻 11 号 p. 2468-2474
TP53遺伝子はがん抑制遺伝子であり,ヒトがん全体の約50%に体細胞系列変異(somatic変異)を認める。一方,TP53の生殖細胞系列変異(germline変異)は,がん発症の遺伝学的易罹患性,がん素因としての側面を持つ。網羅的遺伝子解析により,germline, somatic両者のTP53遺伝子変異による造血器腫瘍での働きが明らかにされた。TP53遺伝子変異はがん臨床において予後や治療選択に関わってくる重要な因子である。しかし,germline TP53変異が判明した場合には,未発症家族のスクリーニングやサーベイランスを含め,どのように患者と家族をフォローしていくか課題が多い。