臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
特集:白血病の遺伝的素因 —最新の知見—
TP53変異と造血器腫瘍
平林 真介鈴木 美慧真部 淳
著者情報
ジャーナル 認証あり

2018 年 59 巻 11 号 p. 2468-2474

詳細
抄録

TP53遺伝子はがん抑制遺伝子であり,ヒトがん全体の約50%に体細胞系列変異(somatic変異)を認める。一方,TP53の生殖細胞系列変異(germline変異)は,がん発症の遺伝学的易罹患性,がん素因としての側面を持つ。網羅的遺伝子解析により,germline, somatic両者のTP53遺伝子変異による造血器腫瘍での働きが明らかにされた。TP53遺伝子変異はがん臨床において予後や治療選択に関わってくる重要な因子である。しかし,germline TP53変異が判明した場合には,未発症家族のスクリーニングやサーベイランスを含め,どのように患者と家族をフォローしていくか課題が多い。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top