臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例報告
アザシチジンが有効であった慢性骨髄単球性白血病合併の芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍
助川 慎一郎坂田(柳元) 麻実子松岡 亮太百瀬 春佳清木 祐介野口 雅之中村 直哉渡辺 玲藤本 学横山 泰久錦井 秀和加藤 貴康日下部 学栗田 尚樹小原 直長谷川 雄一千葉 滋
著者情報
キーワード: BPDCN, CMML, Azacitidine
ジャーナル 認証あり

2018 年 59 巻 12 号 p. 2567-2573

詳細
抄録

芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)は皮膚病変を主体とし,しばしば骨髄病変,白血化を伴う稀な疾患である。形質細胞様樹状細胞の前駆細胞を正常カウンターパートとするが,造血幹細胞を起源とすることが報告されている。BPDCN症例の10~20%に慢性骨髄単球性白血病(CMML)を代表とする他の血液疾患を合併することが知られる。BPDCNおよびCMMLは,いずれもエピゲノム調節因子をコードする遺伝子の異常が高頻度にみられることが報告されている。CMMLに対しては,エピゲノム調節薬であるアザシチジン治療が行われているが,BPDCNに対するアザシチジン治療は少数例の症例報告がなされているのみである。本症例は67歳男性,皮疹で発症し,皮膚腫瘤生検および骨髄生検によりBPDCNと診断した。化学療法によりBPDCNは消失したが,CMMLを発症した。そこで,アザシチジン治療を行い,clinical benefitが得られた。しかしながら,皮疹と骨髄浸潤および椎体病変を認め,BPDCNの再燃と診断した。BPDCNおよびCMMLは,いずれもTET2変異を2種類ずつ認め,このうち1種類は両方の腫瘍に共通して認められた。本症例はBPDCNとCMMLを合併し,アザシチジンを投与した貴重な1例として報告する。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top