臨床血液
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Symposium 4
末梢性T細胞リンパ腫の微小環境および免疫状態
—AITL,ATLL—
大島 孝一三好 寛明山田 恭平
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キーワード: AITL, ATLL, Microenvironment, Immunity
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2018 年 59 巻 5 号 p. 574-587

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抄録

AITLは,follicular helper T細胞由来で,予後は,T細胞のクロナリチィー,またEBV感染細胞の多寡には無関係で,またPCRによる少量のB細胞のクロナリチィーにも無関係である。しかしながら,M2マクロファージ,びまん大細胞型リンパ腫の併存(composite lymphoma)は,予後不良である。TET2,DNMT3A,IDH2,RHOAの遺伝子変異が報告されており,さらにcomposite lymphomaではTET2,DNMT3A変異はT細胞およびB細胞でみられたが,IDH2,RHOAはT細胞に,NOTCH1遺伝子変異は,B細胞に限局していた。このことより前駆細胞でのTET2,DNMT3A変異が考えられている。ATLLはCCR4,FoxP3陽性の抑制性T細胞由来とされ,HTLV-1のp40tax(TAX)が遺伝子活性化因子と考えられているが,HTLV-1 basic leucine zipper factor(HBZ)も腫瘍化に重要とされている。TAX特異的CTLとFoxP3の関連をみたところ,逆相関がみられ抑制性T細胞の機能の関与が推察される。M2マクロファージは予後不良に関係している。Programmed cell death ligand 1(PD-L1)発現には,1)腫瘍に陽性(nPD-L1),2)周囲細胞に陽性(miPD-L1)があり,nPD-L1は予後不良に,miPD-L1は予後良好に関連していた。HLA,beta2Mの発現をみたところ,両者の発現が保たれているものは予後良好で,さらにmiPD-L1があるものが最も予後良好であった。以上のことより,周囲および免疫環境は腫瘍と密に関連していることが分かってきている。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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