臨床血液
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症例報告
高度な好酸球増多とTAFRO症候群の特徴を呈した全身性エリテマトーデス
徳永 正浩山田 昌秀吉川 慎一近藤 篤史三島 麻衣井上 慎也森田 隆子冨永 信彦
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2018 年 59 巻 6 号 p. 688-694

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抄録

症例は76歳女性。発熱と掻痒感を伴う出血性皮疹に加え,高度の血小板減少を指摘され入院となった。貧血や著明な好酸球増多,ALP・CRP・可溶性IL-2受容体の上昇,抗核抗体とCoombs試験陽性を認め,CT上胸腹水・腹腔内リンパ節腫脹・肝脾腫を指摘された。PDGF・FGF受容体遺伝子の再構成を伴う造血器腫瘍,感染症,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症,血管免疫芽球性T細胞リンパ腫,何らかの全身性炎症性疾患を当初鑑別に挙げた。受容体遺伝子再構成や感染巣を認めず,血管炎にも該当せず,リンパ腫または炎症性疾患と考えた。ステロイド単剤投与のみで寛解を維持したことからリンパ腫としては非典型的で,炎症性疾患,中でも特徴的な病像からTAFRO症候群を疑った。この診断にはSLEの除外が必須であり,保存血清中の抗ds-DNA抗体を検査したところ陽性であったことなどからSLEの診断に至った。典型的症状を欠き,好酸球増多など多彩な血球異常を呈した稀な例である。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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