臨床血液
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特集:臨床血液学 ―最新情報と今後の展望2018 (血小板・凝固・線溶系疾患)―
抗凝固薬の最近の話題
森下 英理子
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2018 年 59 巻 6 号 p. 774-783

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抄録

ワルファリンに代わる新しい経口抗凝固薬として直接経口抗凝固薬(DOAC)が登場したが,大出血の合併症は依然として認められ,より出血リスクの少ない抗凝固薬の候補として近年第XI因子阻害薬が注目されている。静脈血栓塞栓症(VTE)を発症した患者の約2~3割でがんの合併を認める。最近,担がん患者のVTE再発または大出血の複合アウトカムを検討した国際大規模臨床試験にて直接活性化第X因子阻害薬エドキサバンが低分子へパリンに対して非劣性であることが明らかにされた。また,抗凝固薬の重大な副作用として出血があり,緊急中和治療は重要な問題である。最近,ワルファリンの中和剤として4因子プロトロンビン複合体製剤が利用できるようになり,DOAC内服患者の中和剤としても期待できる。さらに,ダビガトランの特異的中和剤としてイダルシズマブが登場し,ダビガトランの抗凝固作用を迅速かつ完全に中和することが明らかとなった。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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