2018 年 59 巻 6 号 p. 784-792
チロシンキナーゼ阻害剤(tyrosine kinase inhibitor, TKI)の登場によって,慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia, CML)の長期予後は大きく改善した。しかしながら,再発や薬剤耐性の原因となるCML幹細胞を根絶できる治療戦略の開発は,現在も重要な課題である。Interferon-α(IFNα)はTKIの開発以前から慢性期CMLにおける治療選択肢の1つであったが,TKIとの併用試験における良好な成績などからその臨床的意義が再注目されている。本稿では,ストレス時における特徴的造血を担う転写因子CCAAT/enhancer binding protein β(C/EBPβ)の造血およびCMLの病態における機能について概説し,C/EBPβを介したCML幹細胞に対するIFNαの作用についての我々の最近の研究内容を紹介する。