臨床血液
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症例報告
Interferon-αおよびponatinibが奏効したT315I, F317L変異を有する慢性骨髄性白血病
本村 鷹多朗新井 康祐吉藤 康太園川 佐絵子鈴木 さやか熊谷 隆志
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2019 年 60 巻 1 号 p. 33-38

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抄録

69歳男性。40歳で慢性骨髄性白血病(CML)-慢性期(CP)と診断。経過中にDasatinib(DAS)開始するも,最終的に治療を自己中断。X年11月(65歳)近医で白血球増多を指摘され当院初診。CML-CPと診断し前医と同じDAS 50 mg/dayを開始。9ヶ月で細胞遺伝学的微小奏効しか得られず100 mg/dayへ増量したが,18ヶ月目に移行期に進行。ABL変異解析でT315IとF317Lが陽性。この時点でponatinib(PON)の保険適用はなく,同種移植の希望もなく,DASに加えinterferon-α(IFN-α)開始。導入後7ヶ月でF317Lのみ消失し細胞遺伝学的大奏効達成した。X+4年1月PONが承認となり,単独治療開始。2ヶ月でT315I消失,分子遺伝学的大奏効(major molecular response, MMR)達成し,現在まで効果が維持されている。本例ではチロシンキナーゼ阻害薬抵抗性でT315I,F317L陽性のCMLに対しIFN-αが奏効し,CMLにおけるIFN治療を再考する上で貴重な症例と考えた。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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