臨床血液
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症例報告
妊娠11週に診断し低強度治療先行が奏効した縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫
服部 大樹矢萩 裕一瓜生 英樹細羽 梨花桃木 真美子長尾 陸山﨑 博之
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2019 年 60 巻 2 号 p. 112-117

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抄録

【症例】31歳,女性。X年6月に妊娠。8月2日に前胸部腫瘤を自覚。呼吸困難が出現し,当院へ搬送。CTで縦隔腫瘍と気道圧迫を認め,緊急入院。CTガイド下針生検を施行し,縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫と診断。8月18日(妊娠11週4日)にステロイドパルス(プレドニゾロン(PSL);1 g 3日間)を施行し,呼吸症状は一時的に改善したが,再増悪した。8月22日にVCP(ビンクリスチン(VCR)+シクロフォスファミド(CPM)+PSL)を施行し,呼吸症状は改善した。9月2日にR-CHOP(リツキシマブ+CPM+ドキソルビシン+VCR+PSL)を開始し,計8コース施行。翌年2月4日に出産。児は妊娠35週6日,1,664 gと早産低出生体重児だったが,その他に異常を認めず。3月1日のPET-CTで完全奏効を確認した。【考察】ステロイドパルスとVCPを先行し,その後にR-CHOPを施行することで完全奏効と健児出産を達成した。1st trimesterでの治療導入において有用な手法と考えられた。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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