臨床血液
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臨床研究
中枢神経原発悪性リンパ腫に対するrituximab併用大量methotrexate療法の治療成績
塩田 祐子土橋 史明伊藤 勇太細羽 梨花山内 浩文石井 敬人仲野 彩福島 僚子大場 理恵矢萩 裕一薄井 紀子矢野 真吾
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キーワード: Primary CNS lymphoma, DLBCL, PCNSL
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2019 年 60 巻 2 号 p. 87-92

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抄録

中枢神経原発悪性リンパ腫(PCNSL)は稀な疾患であり,進行が早く予後不良である。今回我々は,PCNSL患者6例に大量メトトレキサート療法を主としrituximabを併用した化学療法を施行したのでその治療成績を解析した。年齢中央値は71歳(範囲,54~75歳),PSは3以上が4例であり,組織型は全例がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫であった。治療効果では,全例に奏効(完全奏効5例,部分奏効1例)が得られた。経過中に1例が肺血栓塞栓症,1例に敗血症および急性精巣上体炎の合併症を併発したが,いずれも治療により軽快し管理可能であった。観察期間中央値は28.8ヶ月(範囲,13.4~65.5ヶ月),治療開始から62.2ヶ月後に再発した1人を除いて全例再燃なく生存中であり,rituximabを併用した治療法が期待された。今後も,高齢者を含むPCNSLに対するさらなる治療法の確立が望まれる。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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