臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例報告
Clopidogrel投与後に高力価の第VIII因子インヒビターが検出された後天性血友病A
清水 拓也野上 恵嗣水谷 知里今田 和典
著者情報
ジャーナル 認証あり

2019 年 60 巻 4 号 p. 291-295

詳細
抄録

症例は80歳,男性。アルコール性肝硬変から,肝細胞がんを来し,肝動脈化学塞栓術を複数回受けていた。X−1年11月に下肢の閉塞性動脈疾患に対して,経皮的血管形成術・ステント留置術が施行され,clopidogrelとcilostazolの内服が開始された。X年3月より皮下出血を繰り返し,cilostazolを中止。その後もAPTT延長が持続し当科へ紹介となった。血小板10.3万/µl,PT-INR 1.26,APTT 83.2 sec,第VIII因子活性 <1%,クロスミキシングテストではインヒビターパターン,第VIII因子インヒビターが449 Bethesda unit(BU)/mlと高値で後天性血友病Aと診断した。Clopidogrelの中止とともにprednisolone 0.5 mg/kgで治療を開始し,4週間後にAPTTの正常化を認めた。本症例は,clopidogrelが発症に関与した可能性があること,高力価第VIII因子インヒビターを認めたが,バイパス製剤を使用せず治療できた点が特徴的であった。

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top