2019 年 60 巻 9 号 p. 1013-1019
近年,半世紀以上前に開発されたサリドマイドを元に様々な薬剤が開発されている。その中で,レナリドミド,ポマリドミドは免疫調節薬(IMiDs)と呼ばれ,強力な抗がん作用を有することが判明している。現在ではIMiDsの直接の標的因子はセレブロン(CRBN)であることが判明している。CRBNはDDB1とともにE3複合体(CRL4CRBN)を形成する。このCRL4CRBNは結合する化合物によって認識する基質が変換される特殊な性質を持つ。現在,レナリドミド,ポマリドミド以外のIMiDsも開発されてきており,もはや免疫調節作用に留まらない活性を持つものも見つかっているので新たにセレブロンモジュレーターという総称も提案されている。またPROTACsと呼ばれる新たな壊したいタンパク質(POI)をCRL4CRBNに分解させる化合物の開発も行われている。本稿ではCRBNの最新までの知見について解説したい。