2019 年 60 巻 9 号 p. 1265-1274
多発性骨髄腫(MM)は,腫瘍細胞の特性を基に,プロテアソーム阻害薬や免疫調節薬,抗体療法などが臨床応用され,治療成績が改善している。しかしながら,未だ治癒困難であり,現有の治療法の改良と共に新たな治療薬の開発が求められている。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)は,ヒストンあるいは非ヒストン蛋白を脱アセチル化し,遺伝子発現やタンパクの機能,安定性を調節する酵素群である。HDACはMMの治療標的として有用であり,汎HDAC阻害薬は既に臨床応用されているが,その広範なHDAC阻害による副作用が問題視されている。そこで,次世代の治療として,MMにおけるHDACアイソフォームの特異的な機能,役割を明らかにし,アイソフォーム特異的なHDAC阻害薬を開発し,副作用を軽減しながら治療効果を増強させる研究が進められている。