臨床血液
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症例報告
初回治療としてHLA半合致血縁ドナーから同種造血幹細胞移植を施行した劇症型再生不良性貧血
槇島 健一小原 直坂本 竜弘加藤 貴康日下部 学錦井 秀和栗田 尚樹横山 泰久坂田(柳元) 麻実子長谷川 雄一千葉 滋
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2020 年 61 巻 10 号 p. 1464-1468

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抄録

免疫抑制療法は重症再生不良性貧血においてHLA一致血縁ドナーからの造血幹細胞移植が困難な際の第一選択である。劇症型再生不良性貧血(FAA)は急速に好中球が消失し,granulocyte-colony stimulating factor(G-CSF)製剤の投与を行っても反応が得られないとされる。今回,我々はFAAに対して,初回治療としてHLA半合致血縁ドナーからの移植を施行したため報告する。症例は38歳男性。汎血球減少と扁桃周囲膿瘍で紹介となった。骨髄生検は異型を伴わない著明な低形成であり,G-CSF製剤にも反応せず好中球数が0.0/µlとなったことより,FAAと診断した。HLA一致の血縁ドナーはいなかったが,実姉がHLA半合致であった。前処置を施行したのち,末梢血幹細胞移植を施行した。移植後16日に好中球の生着が得られた。皮膚stage1,grade1の急性GVHDが認められたが,他に移植に伴う合併症は認められなかった。HLA半合致血縁ドナーからの移植は今後,有力な選択肢になりうると考えられる。

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© 2020 一般社団法人 日本血液学会
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