2020 年 61 巻 4 号 p. 343-349
急性白血病における微小残存病変(minimal(measurable)residual disease, MRD)は,血液学的寛解にある患者の残存白血病細胞をマルチパラメーターのフローサイトメトリーや様々な分子学的手法により示すものである。MRDは今や急性骨髄性白血病(AML)治療開始後の独立した予後因子となり,これまで用いられている臨床的,分子生物学的データともども重要なリスク層別化因子となりつつある。一方,どのポイントでMRDを測定するのがよいか,適切な基準値は何か,骨髄血か末梢血のどちらがよいか,様々な研究室で行われているものをどう標準化するかなど多くの問題をかかえている。本稿では,AMLにおけるMRDの測定方法,臨床的意義,MRDを指標とした治療などについて解説する。