2020 年 61 巻 4 号 p. 387-391
本邦における造血細胞移植は近年では年間約5,500件行われており,近年尚世界的にも移植件数は増加している。レジストリデータである造血細胞移植登録一元管理プログラム(TRUMP®)データを用いた後方視的観察研究は,テーマごとのワーキンググループにより活性化され,近年では年間20編以上の学術論文としてその研究成果が公表され,造血細胞移植医療の発展に寄与している。共有スクリプトの開発は,レジストリデータの解析においてその品質の向上に寄与している。2020年1月に,WHO疾患分類改訂や新規薬剤等を含めたTRUMP®調査項目の大幅改訂がなされ600項目を超える調査項目が変更となった。登録研究の質管理体制もこれに対応し大幅アップデートの必要がある。造血細胞移植レジストリは造血細胞移植と細胞治療のレジストリとして発展しつつあり,国際共同研究を含めその利活用の幅が広がることが期待される。