2020 年 61 巻 5 号 p. 520-527
多発性骨髄腫(multiple myeloma, MM)は21世紀に入り,プロテアソーム阻害薬,免疫調節薬および抗体医薬の登場にて,飛躍的に予後は改善してきている。しかし,このような有効性の高いMM治療薬の開発にもかかわらず,薬剤耐性を来し,標準療法に抵抗性を示し,未だ治癒が見込めないのが現状である。ところがここ1~2年で新規分子標的薬(venetoclax,selinexor),新規免疫調節薬(iberdomide),新規抗体医薬(isatuximab,belantamab mafodotin),bispecific T-cell engagers(BiTE)およびchimeric antigen receptor T-cell(CAR T-cell)療法が開発され,有望な結果が報告されてきている。本稿では,これらの開発中の薬剤を中心に概説する。