臨床血液
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総説
ダウン症候群と急性リンパ芽球性白血病
岡本 康裕
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2021 年 62 巻 10 号 p. 1465-1473

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抄録

ダウン症候群に合併する急性リンパ芽球性白血病(DS-ALL)を世界の臨床研究グループから収集した653例の解析では,DS-ALLの8年無病生存率は64%で,同時期の非DS-ALLの81%より悪かった。DS-ALLでは,予後良好である高二倍体やETV6-RUNX1異常などが少ないこと,Ph-like ALLの割合が高いこと,感染合併症などによる副作用死亡が多いことが理由と考えられている。微小残存病変を指標として治療強度を適正化すること,副作用対策を強化することで,DS-ALLの治療成績が向上しつつあることが報告されている。DS-ALLの発症頻度は非DS-ALLの20倍とされる。機序としては,21番染色体上にあるHMGN1によってリンパ系の増殖が起こり,さらにP2RY8-CRLF2融合などによるCRLF2の過剰発現により,JAK-STATの活性化が起こり,ALL細胞が増殖することが推定される。このCRLF2の異常はDS-ALLの30~60%に認められる。今後はCRLF2に対する治療,その下流のJAKを標的とした治療,さらにはblinatumomabやCAR-T療法がDS-ALLの治療に組み込まれていくものと考えられる。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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