臨床血液
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臨床研究
血液悪性疾患患者におけるCOVID-19院内発症例の重症化リスクの検討
塚田 和佳稲村 純季五十嵐 将佐藤 一也
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2021 年 62 巻 10 号 p. 1474-1481

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抄録

背景:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に伴い,悪性疾患を有する患者も感染のリスクが少なくない状況が続いている。COVID-19は固形腫瘍より血液悪性腫瘍の患者の方が重症化すると報告されているが,それらの前治療が及ぼす影響に関しては明確になっていない。方法:当院の院内感染で発症した血液悪性疾患を有するCOVID-19の17例を対象とし,重症群と非重症群に二分して前治療を含む重症化に寄与する因子に関し後方視的に解析した。結果:全死亡率47%と非常に高率であった。重症群は17例中7例で,非重症群と比較し有意に死亡率が高かった(odds ratio(OR)18.44,95% confidence interval(CI)1.27~ 1223.17,P=0.02)。単変量解析では,重症化に寄与する有意な因子として,前治療として2レジメン以上の化学療法(OR 17.34,95%CI 1.15~1165.33,P=0.03),ヘモグロビン低値(P=0.02)が同定されたが,COVID-19発症3ヶ月以内の前治療は有意な因子とはならなかった(P=0.54)。結論:多重治療歴のある血液悪性疾患患者ではCOVID-19重症化リスクがあり注意が必要である。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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