臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例報告
髄液細胞のMYD88 L265P変異により診断に至ったIgG型Bing-Neel症候群
丸山 ゆみ子錦井 秀和松岡 亮太槇島 健一栗田 尚樹日下部 学横山 泰久加藤 貴康坂田(柳元) 麻実子小原 直中村 直哉千葉 滋
著者情報
ジャーナル 認証あり

2021 年 62 巻 10 号 p. 1493-1498

詳細
抄録

Bing-Neel症候群(BNS)は,リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)の経過中に腫瘍細胞の中枢神経浸潤を伴い,多彩な神経症状を呈する稀な病態である。今回我々は,髄液細胞の遺伝子変異から診断に至ったIgG型BNSの1例を報告する。症例は74歳男性。2012年にIgG型LPLと診断後,rituximub-bendamustine(RB)療法が奏効して経過観察中であった。2019年に両側下肢の脱力感と痙性歩行が緩徐に進行した。髄液細胞診では診断に至らなかったが,髄液細胞のDNAでMYD88 L265P変異を検出したことからIgG型BNSと診断し,RB療法に加え髄腔内投与を施行したところ,劇的な神経症状の改善を認めた。MYD88 L265P変異陽性LPL症例における神経症状出現時にはBNSを鑑別にあげ,髄液細胞DNAでの遺伝子変異解析を行うことが重要であると考えられた。

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top