2021 年 62 巻 11 号 p. 1598-1603
症例は甲状腺原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(stage IE)の75歳女性。R-THP-COP療法3コースおよび放射線療法39.6 Gy施行後のFDG-PET/CTにて全身リンパ節および殿部筋肉に新たにSUVmax 7.1~26.1の異常集積を認めた。甲状腺限局びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の経過としては急な病勢増悪のため再生検を施行したところ,再発所見を認めずサルコイドーシスと診断された。SUVmaxは高値であったが,自覚症状はなく心病変や眼病変の合併もないため経過観察したところ,緩やかに異常集積は軽快し,2年の経過で消失した。詳細な機序は明らかとなっていないが本症例のように悪性リンパ腫の治療後にサルコイドーシスが発症する症例がこれまでにも報告されている。悪性リンパ腫の再発が疑われる症例において,典型的な臨床経過を示さない症例では,再発以外の可能性を考え再生検することの重要性が示唆された。