臨床血液
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臨床研究
同種造血幹細胞移植後の結核感染症の臨床的特徴
安達 弘人関谷 紀貴神原 康弘熱田 雄也大塚 友貴小沼 亮介須崎 賢和田 敦司岸田 侑也内堀 雄介迎 純一新谷 直樹遠矢 嵩清水 啓明名島 悠峰小林 武坂巻 壽大橋 一輝土岐 典子
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2021 年 62 巻 4 号 p. 239-244

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抄録

同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)後の結核発症率は一般集団と比較して10~40倍高く,0.1~5.5%と報告されている。しかし,本邦のallo-HSCT後の患者における特徴は明らかでない。2002~2018年の間に,当院でallo-HSCTが施行された症例のうち,allo-HSCT後に診断された培養陽性結核の発症率・臨床的特徴を後方視的に検討した。1,047例のうち,5例(0.4%,人口10万人対発症率472)が肺結核を発症し,発症時期はallo-HSCT後中央値1,730(586~2,526)日であった。発症時に3例で慢性移植片対宿主病(cGVHD)を認めており,tacrolimus又はステロイドでコントロール良好であった。5例中3例が結核の治療を完遂しており,治療完遂症例では再燃を認めていない。Allo-HSCT後の結核発症率は一般集団(0.01%,人口10万人対発症率12.3)と比較して高く,晩期合併症として考慮する必要がある。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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