2022 年 63 巻 1 号 p. 37-44
移植片対宿主病(graft-versus-host disease, GVHD)は同種造血細胞移植の重篤な合併症である。近年,腸内細菌叢における多様性の喪失と腸内細菌由来代謝物(メタボライト)の変化が腸GVHDと関連することが示唆されている。そこで,我々はマウス骨髄移植モデルを用いて,同系および同種移植における移植後早期の糞便中のメタボライト変化をキャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)を用いて解析した。その結果,同種移植ではcholine,trimethylamine N-oxideなどのcholine代謝やkynurenine,picolinic acidなどのtryptophan代謝と関連するメタボライトの増加を認めた。同種移植後早期にアロ免疫反応との関連が示唆されるメタボライトを測定することで,GVHD発症の早期予測に繋がる可能性が示唆された。