臨床血液
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症例報告
Bortezomib-EPOCH併用療法により長期寛解が得られたHIV陰性精巣原発形質芽球性リンパ腫
藤島 崇嗣川端 良成道下 吉広北林 淳高橋 直人
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2022 年 63 巻 10 号 p. 1386-1391

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抄録

形質芽球性リンパ腫(PBL)は,HIV感染や免疫不全を背景に発症する稀なB細胞性リンパ腫である。今回,我々はHIV陰性精巣原発PBLに対し,bortezomib併用-EPOCH療法が著効し長期寛解が得られた症例を経験したので報告する。症例は86歳男性。免疫不全を伴う基礎疾患なし。急速に増大する右精巣腫瘍を認め,右高位精巣摘除術を施行した。摘除標本で形質細胞様異型リンパ球のびまん性増殖を認め,免疫組織化学染色で,CD38,CD138,CD56,λ,MUM1,EBER,MYC陽性であるが,CD20陰性,MIB1 index 90%であった。PET/CTで全身リンパ節腫脹を認めたが,骨髄および髄液浸潤はなく,PBL,臨床病期IIIE-A,IPI高中間リスクと診断した。髄注併用V-EPOCH療法を6コース施行し完全寛解が得られた。左精巣に予防的照射(計30 Gy)施行後,診断から2年半以上経過したが完全寛解を維持している。PBLは急速進行性で予後不良な疾患であるが,その稀少性から標準的治療は未確立である。精巣原発PBLに対し,髄注および局所照射を併用したV-EPOCH療法は,高齢者にも寛解と長期予後を期待できる有効な初期治療法の一つと考えられた。

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© 2022 一般社団法人 日本血液学会
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