2022 年 63 巻 5 号 p. 393-402
von Willebrand factor(VWF)A1ドメインに対するDNAアプタマーTAGX-0004は,VWFと血小板との結合を阻害する。今回,TAGX-0004と先行する抗VWFアプタマーARC1779および抗VWFナノボディであるcaplacizumabについて,in vitro血小板凝集および血栓形成における阻害効果を比較検討した。TAGX-0004の阻害効果はARC1779よりもはるかに高く,caplacizumabと同等以上であった。海外では後天性血栓性血小板減少性紫斑病(aTTP)治療においては血漿交換療法との併用でcaplacizumabが第一選択薬となっているが,出血の副作用,製剤の保存性,薬価が高額であるなど,問題点が指摘されている。TAGX-0004はこれを克服し,さらにはaTTPのみならずVWFの関与する脳梗塞,心筋梗塞などの血栓症の治療薬として有望である。