臨床血液
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Symposium 11
サイトカインストーム関連疾患に対する新規分子標的
—血液線維素溶解系因子群—
服部 浩一島津 浩高橋 聡ハイジッヒ ベアテ
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2022 年 63 巻 5 号 p. 403-409

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抄録

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化機序の解明は,全世界喫緊の研究課題でありながら,未だ不明な点が多く,死者数も530万人に達しようとしている。筆者らは,これまでの研究で,凝固・線維素溶解系(線溶系)による炎症性サイトカインの分泌と炎症性細胞動態制御機構,そしてCOVID-19の重症化病態を構成する「サイトカインストーム」とその関連疾患の病態解明を進めてきた。この過程で,血管内皮障害・機能異常をトリガーとしたアンジオクラインシステムの破綻,そしてアンジオクライン因子と炎症性サイトカインの発現・産生過剰と不均衡が,主なCOVID-19の合併症の発生に関与していること,そして炎症性疾患に対するこれらのアンジオクライン因子,線溶系因子を標的とした分子療法の可能性を提示した。本稿では,筆者らの研究成果を中心に,炎症性疾患病態における線溶系の意義について,紙面の範囲内で概説する。

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© 2022 一般社団法人 日本血液学会
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