2022 年 63 巻 7 号 p. 826-832
思春期・若年成人であるAYA世代とは,ここ10年ほどで15~39歳の年齢層を指すことが定着した。小児急性リンパ性白血病(ALL)の治療成績が著しく改善したのに比して,AYA-ALLの治療成績は不良であった。欧米各国から,AYA-ALLに対する小児グループでの治療成績が成人グループのそれに比して良いことが報告され,同世代に対して小児レジメンを用いた臨床試験が数多く行われている。成人用に改変した小児レジメンを用いるグループ,または,小児レジメンをそのまま用いるグループに分かれるが,どちらのグループも生存率は60~70%を示し,成人型の治療による30%に比較して大きく改善した。AYA-ALLに特徴的なbiologyの解明も進んでおり,新たな治療ストラテジーの可能性も示されている。現在は高リスク群に対する免疫療法の併用などを組み入れた研究が本邦を始め各国で行われている。今後,血液内科医と小児科医の協働によりAYA-ALLの治療成績がさらに向上することを期待したい。