臨床血液
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26 (EL2-7-2)
多発性骨髄腫における遺伝子解析の現状と展望
伊藤 勇太木暮 泰寛片岡 圭亮
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2024 年 65 巻 9 号 p. 1066-1074

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抄録

多発性骨髄腫(MM)は形質細胞に由来する難治性の造血器腫瘍である。近年,次世代シーケンス技術の進歩に伴ってMMの大規模な遺伝子解析研究が複数行われ,それまで知られていたIGH関連転座や高2倍体に加えてMAPK,NF-κB,細胞周期制御,エピゲノム調節経路に変異が繰り返し認められることが明らかになった。また,遺伝子異常の個数やTP53の両アレル異常の予後への影響が報告され,一方,再発・治療抵抗性メカニズムに関連した遺伝子異常も報告されている。このような中で,我々は循環腫瘍DNA(ctDNA)を用いた再発・難治MMの解析を施行し,遺伝子変異の全体像を明らかにした。ドライバーとしてはTP53変異を最も高頻度(21.6%)に認め,KRASTP53を含む6つの遺伝子変異が無増悪生存率の不良因子であることが判明した。また,ctDNA変異数はIGH関連転座や臨床因子と独立な予後因子であり,これに基づいた新たな予後予測モデル(ctRRMM-PI)を作成した。今後,これらを基盤とした治療戦略の最適化を通じてMMの予後改善が期待される。

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© 2024 一般社団法人 日本血液学会
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