2026 年 67 巻 5 号 p. 453-461
POEMS症候群は,モノクローナル形質細胞増殖を基盤とし,多発神経炎,臓器腫大,M蛋白,皮膚症状などを特徴とする稀少な全身性疾患である。本症候群では血管内皮増殖因子(VEGF)が著明に上昇し,病態に深く関与している。診断には多発神経障害,単クローン性形質細胞増殖,血清VEGF上昇を必須項目とする本邦の診断基準が実用的かつ高精度である。治療は自家造血幹細胞移植(ASCT)の適応の有無により決定され,適応例では大量melphalanを前処置とするASCTが標準治療であり,神経症状の改善と長期生存が期待できる。移植非適応例や移植前の導入療法としては,thalidomide,lenalidomide,bortezomibなどの薬剤が有効である。血清VEGF値は疾患活動性や治療反応性を鋭敏に反映するバイオマーカーであり,経過観察時のモニタリングに不可欠である。本稿では,最新の知見に基づいた本疾患の病態,診断,治療戦略を概説する。