林業経済
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太田川林業地における新築住宅需要(原著論文)
国産材使用の可能性を求めて
坂口 喜一郎
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2004 年 56 巻 10 号 p. 2-20

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抄録

林業地における住宅新築の現状を知ることは、国土の3/4に及ぶ都市計画区域外の集落で今何が起こっているか、地域林業はそれにどう対応すべきかを考える上で重要であるが、現状は知られていない。林業地の新築需要を明らかにすべく、広島県でアンケート及び聞き取り調査をした。時間的変遷や都市部との差異を知るため、先行調査と比較した。施主の年齢が高いこと、高耐震性の住宅や気候風土に合う伝統的続き間か好まれる等の特質が明らかになった。後者への対応は、法規制の緩やかさを活用して伝統技術を生かせる地元大工工務店(以下、地元)に有利で、国産材供給が期待できる。営業的には実証された耐震性や、価格満足度を強調すべきである。地元による新築が半数以上であるが、大手住宅メーカーが展示場を武器に当地に進出している。地元は設計や文書処理の高度化、展示場など課題は多い。地域材住宅運動との連携や行政の助成で克服する道が考えられる。

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© 2004 一般財団法人 林業経済研究所
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