中華人民共和国(以下、中国とする)からの日本の生シイタケの輸入量は、2000年には約4万トンに達した。そのため日本政府は、2001年に国内生シイタケ生産者の保護を目的にWTO条約に基づくセーフガードの暫定措置を約半年間に渡り発動した。このような状況において、中国国内の生シイタケ流通業者がどのような認識で生シイタケを取り扱っているかを現地調査に基づき考察した。その結果、中国国内の生シイタケ流通業者は、日本政府によるセーフガードの暫定措置発動に加えて、中国産農産物の農薬問題や輸出業者間の競争の激化による厳しい販売状況から、輸出に加えて中国国内への販路の開拓により経営の安定を図ろうとしていた。日本国内の生シイタケ生産者は、中国国内の状況を踏まえ、消費者や商品の多くを取り扱うスーパーマーケットの状況を分析し安全な商品を安定して供給する販売戦略が必要である。