1990年代後半より中国の林産物需要の増大や木材産業の発展が顕著となり、東アジアの林産物貿易に世界の注目が集まるようになった。そこで、日本、中国、韓国の3カ国を取り上げて林産物の需給と貿易の特徴を把握し、林産物貿易の展開方向を考察した。その結果、(1)3カ国において輸入構造が丸太から木材製品ヘシフトしていること、(2)丸太や製材品等の輸入相手国に競合関係がみられること、(3)中国木材産業の発展を背景に、合板や集成材等の輸出入において2008年までは中国と日本・韓国との関係が強まったが、その後は中国が内需向けの木材製品供給を増やし、貿易関係は弱まっていること等を把握した。さらに、(1)中国国内の経済格差問題等を考慮するとこの方向性は続く可能性が高いこと、(2)中国の健康志向や環境意識の高まり、高齢化等に応じた木材製品や技術の開発により新たな連携関係構築の可能性があることを考察した。