林業経済
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朝鮮林野調査事業の問題点の探究と分析(原著論文)
李 鎭昊 杉山 和一石松 隆和
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2014 年 67 巻 4 号 p. 1-15

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抄録

本論文は、1914年から1925年までの間に朝鮮において施行された林野調査事業とその施行上の問題点を探り、それを分析したものである。分析に際し、主に韓国行政安全部国家記録院に所蔵されている各道の『林野調査終末報告書』を参考にした。分析した結果、以下のことが明らかになった。(1)臨時土地調査局を廃止し、既存の官署を活用して林野調査を行ったことは、明らかな失敗であり、その結果、試験事業が混乱したため事業が十分に達成できず、道が制定した実施要領の内容も混乱した。(2)林野所有者に森林法時の出願経費や林野調査時の協議費徴収といった過重な負担を負わせることになった。(3)法規が整備されない状態で施行された後、内規を通して施行されるようになり、朝鮮林野調査令と同施行規則、同施行手続きの制定が遅延することになった。(4)林野調査における林野以外の土地の調査が後から実施されることになり、このことによって大きな影響が生じた。(5)山土地台帳などの別途作成された帳簿は、大韓民国の時代にこれを是正して完成した。(6)森林調査の従事者は峻嶺高山で悪戦苦闘した割に低賃金で雇用され、事業終了後の再就職に対する対策も不十分であった。(7)地形図から作製された看做林野図、未完成の林野図、特に経済的な価値がなく、交通が不便との理由で調査対象から除外された島嶼など、その原因とこれを完成した過程を各市郡の地籍課(土地管理課)の協力を得て明らかにした。

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© 2014 一般財団法人 林業経済研究所
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