2022 年 28 巻 p. 19-24
低頻度の大洪水時の河道変化については,稀な事象を対象とするため研究事例が少ない.特に大規模に改変された河道が,その後の時間の経過と共にどのように変化していくかの報告は見られない.本研究では,2017年九州北部豪雨災害を受けた,地質の異なる3つの山地河川を対象に,UAV等により地形測量・解析と河床材料調査を実施し,低頻度大洪水後の数年間における河道地形と河床材料の変化を明らかにした.結果として,低頻度大洪水時の河道変化の状況および,その後数年間における地形や河床材料の変化の様相は河川によって大きく異なり,河床材料や岩盤の特徴を規定する地質の影響が示唆された.花崗岩類の白木谷川支川などは,大洪水の後も継続的に河道が大きく変化しており,大洪水前の河床高に近づけば変化が収束する訳ではなく,災害前と異なる河床高に変化していくことなどが確認された.