2022 年 28 巻 p. 451-456
本論文は,治水と環境が調和した持続可能な河道の姿についての議論を広く喚起することを目的とし,複断面河道を採用している大河川を主な対象とし,現行の河道計画に関する現状と課題を整理しながら,「治水上の限界河道」と「環境上の限界河道」について,現時点における知見と論点を整理し提示しようとするものである.日本の整備計画河道の立案の経緯,現在の河道管理に対する社会の要請と河川技術の動向について述べた上で,限界河道の概念について整理する.続いて,セグメント1の河道にみられる砂州の特性について,治水と環境の両面から過去の知見を整理して提示した上で,セグメント1河道における環境上の限界河道についての試論を示す.