2022 年 28 巻 p. 463-468
部分拡幅工法は環境形成と治水を両立する有力な手段であるが,河川の特性に応じた河床安定性,環境上の効果,維持管理の量について実例の整理がなされていない.本研究では,施工後10年程度経過した部分拡幅改修区間を対象に追跡調査を実施し,拡幅による治水上,環境上の変化と河川特性の関係性を検討するとともに事前予測・評価の妥当性を検討した.その結果,部分拡幅部では,流量・勾配・川幅等による長期的な地形変化と,湾曲・拡幅等の平面形状による局所・短期的な地形変化が確認された.数値解析による評価は,整備後に生じている地形変化や瀬淵分布,植生定着状況を概ね再現し,施工後の環境予測に有用であることが認められた.