抄録
本研究の目的は,大学競泳選手の跳躍能力および下肢筋力を測定し,競泳選手の下肢の特性を検討するとともに,それらの能力とスタートパフォーマンスとの関係を明らかにすることであった.男子水泳選手18 名を対象に,下肢ではスクワットジャンプ(SJ),カウンタームーブメントジャンプ(CMJ),リバウンドジャンプ,スクワット(SQ1RM)を測定した.スタートではキックスタートとシングルレッグスタートの10 m 到達タイムを測定した.競技力はWorld Aquatics points(WA points)を指標とした.各測定値間の相関分析に加え,WA points による中央値で分類した2 群間の比較,およびSprint 群とMid-Long 群による専門距離の比較分析を行った.その結果Sprint 群はMid-Long 群よりSQ1RM が有意に高く,長水路WA points とSQ1RM に負の相関を認めた.キックスタートはSQ1RM,CMJ,SJ に,シングルレッグスタートはSQ1RM のみ有意な負の相関を認めた.これらにより競技力や専門距離に応じた下肢筋力の特性が存在し,キックスタートの前脚に下肢筋力が関与すると考えられる.