抄録
本研究は,大学女子競技者が砲丸投における投げ方向への「体重移動」の早期完了が改善できた試技を手がかりに,2 台の地面反力計を用いて,グライド動作後半の右足接地からリリースまでの「体重移動」を客観的に可視化できるかについて検討することを目的とした.そのために,投げ動作内における両足支持期に着目して荷重比を算出し,比較した.その結果,技能改善前は左足接地後,0.08 秒で左足に90%荷重しているのに対し,技能改善後では,0.14 秒で左足に90%荷重していた.グライド動作後半の右足接地からリリースまでの動作時間にはほとんど差が見られなかったものの,技能改善後の方が左足接地後,左足への「体重移動」が緩やかに行われ,投てき距離も0.36m 長かった.本研究の地面反力データを用いた荷重比の算出は,「体重移動」の変化を客観的に可視化する上で有益であり,このような地面反力データを活用することは,技能改善を目的としたひとつの活用方法として提示できるものであると考えられた.