抄録
短距離走の加速局面におけるスティック走練習は,最大走速度の向上を目指して,加速局面にスティックを配置してステップ長を制御する走練習である.しかし,走者の身長を考慮した実施条件について詳細に示されていない.本研究では,金高(2025)が明らかにした短距離走の加速局面における身長比のステップ長(SL 指数)の増加特性や分析データを手がかりに,加速局面のスティック走練習におけるスタートから1 歩毎の目標ステップ長を身長毎に提示することを目的とした.競技者でない児童・生徒等の最大走速度時のSL 指数(SL 指数vmax)が1.10 倍前後であることを考慮し,1.10 倍前後の走者が競技者の1.25 倍へと導かれる目標ステップ長を一覧表として示した.提示した目標ステップ長は実践場面で培われてきた実施条件を補強・補足するようなものであった.さらに,3 人の大学男子陸上競技者を対象にスティック走練習を試行し,スティック走練習前後の50m 走を比較した.その結果,SL 指数vmax を増加させる可能性が示された.さらに,スティック走練習以外での目標ステップ長の活用可能性,目標ステップ長の限界と課題について示した.