スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
剣道熟練者の実践知を探る:
年齢差のある対象者間の相打ちによる面打撃を手掛かりに
大城戸 知大澤 啓亮竹中 健太郎
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キーワード: 相打ち, 面打撃, striking time, 戦術
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2026 年 18 巻 p. 54-63

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抄録
本研究は,剣道熟練者の実践知を明らかにすることを目的とし,年齢差のある対象者間における相打ちによる面打撃を手掛かりに検討を行った.対象は,剣道八段の熟練者(53 歳)および大学トップレベルの選手(四段,21 歳)であった.まず,単独動作による面打撃における打撃に費やす時間と地面反力を計測し,動作特性を定量化した.次に,合図による相打ちの場面において,両者の反応時間と打撃時間を比較し,映像分析により打突の優劣を検討した.さらに,地稽古における熟練者の打突行動について,インタビューを通してその戦術的意図を明らかにした.その結果,熟練者は単独動作および相打ち場面において身体的指標では劣勢であったものの,相手の動作特性を的確に捉え,打突機会を先取する戦術的判断力を発揮していた.これにより,加齢による身体能力の低下を補い,実戦での優位性を維持していることが示された.以上の結果から,剣道熟練者の実践知は,経験に基づく状況判断と戦術的対応力に支えられており,生涯剣道の技能発展における重要な要素であることが示唆された.
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© 2026 日本スポーツパフォーマンス学会
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