トマトのロックウール養液栽培において, 根域を加温することにより葉の黄化を抑制できた. 葉の黄化には品種間差があり, 供試した2品種 (‘麗容’と‘桃太郎はるか’) のうち, ‘麗容’では無加温でも顕著な黄化は生じなかった. 無加温により黄化した‘桃太郎はるか’の葉では, 二価のカチオンであるカルシウム (Ca) とマグネシウム (Mg) と, 微量要素である銅 (Cu) と亜鉛 (Zn) の濃度が有意に低下した. 特に無加温によるMg濃度の低下は著しく, 加温区の55%の濃度となった. 葉緑素濃度との相関はMgが最も高く, 葉緑素濃度の低下の原因が根域の低温により引き起こされたMg欠乏である可能性が示唆された.