根の研究
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ミニレビュー
作物根系解析の効率化
寺本 翔太
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 33 巻 1 号 p. 7-14

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抄録

根系は養水分の吸収に影響するため,重要な育種対象である.根系を改良することで,肥料吸収効率や乾燥ストレス耐性などの重要形質を改善することができる.しかしながら,土中の根の収集および計測は労力がかかり植物体を破壊するため,根系は育種で優先されていない.本ミニレビューでは,根の収集および計測の省力化,および非破壊計測技術の開発に焦点をあてた近年の研究動向を紹介する.根の収集では,鋼鉄製モノリスとバックホーを用いてイネ (Oryza sativa) の根の収集が効率化された.世界のイネ品種を用いたモノリス調査により,イネ亜集団間で根のバイオマスと相関の高い分げつ数および冠根直径が異なっていることを定量的に評価した.根の計測では,深層学習の画像解析によりイネの根の計測が効率化された.塹壕法は作物横に溝を掘り作物根の土壌内分布を観察する手法である.塹壕法写真を深層学習により画像解析することで,世界のイネ品種の根の土壌内分布の多様性を定量的に評価した.非破壊計測技術の開発では,エックス線CT (コンピュータ断層撮影) の画像を解析するための画像解析ソフトウェアが開発・利用された.最適な栽培条件と撮影条件を決定し,CT画像から根系の形を可視化・定量化した.以上のように,屋内外における根系解析のための労力のかかる作業が効率化された.これらの技術を用いて,根系に関する育種がより促進すると期待する.

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© 2024 根研究学会
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