根の研究
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水田における根量の測定と評価
円筒モノリス法
森田 茂紀阿部 淳
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2001 年 10 巻 1 号 p. 13-17

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抄録

根系の形態や機能を研究していく場合, 根量を測定することが必要となる. しかし, 水田における単位面積当たりの根量を測定したり評価する方法は, 確立していなかった. そこで, 著者らは水田における根系調査を通じて, 以下のような方法を確立した. すなわち, ステンレス製の円筒を用いて, 株下と株間 (隣接する4株間の中心) から直径15cm・長さ20-30cmの円柱状の土壌モノリスを採取し, 5cmあるいは10cmの円盤状の土塊に切り分ける. それぞれの円盤状の土塊に含まれている根を洗い出して, ルートスキャナで根長を測定する. この根長を, それぞれの土塊の体積で割って, 根長密度 (単位土壌体積当たりの根長) を算出する. また, 土層別の株下と株間の根長密度を平均して, 土壌の厚さと該当面積を掛けると, 単位面積当たりの根長が得られる. これを栽植密度で割れば, 1株当たりの根長になる. これらのデータを用いて「根の深さ指数」を算出すれば, 根系の垂直分布を比較検討できる. 同じ円筒を用いて冠根の伸長角度を測定すると, さらに理解が深まる. また, 根長 (分枝根を含む総根長) を根軸の長さで割ったり, 比根長 (=根長/根重) を算出すれば, 分枝程度を評価することもできる.

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