根の研究
Online ISSN : 1880-7186
Print ISSN : 0919-2182
ISSN-L : 0919-2182
圃場で栽培したトウモロコシおよびソルガム節根の伸長方向と根冠の形態
伊藤 香織森田 茂紀阿部 淳稲永 忍
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 13 巻 1 号 p. 9-13

詳細
抄録

ひげ根型根系の形態を規定している重要な要因の一つは, 個々の節根の伸長方向である. 節根は傾斜重力屈性を示し, 様々な方向に伸長しているが, その伸長方向を決定する様相やメカニズムについては必ずしも明らかでない. そこで, 本研究では, トウモロコシとソルガムを圃場で栽培し, 節根の出現直後における伸長方向の決定過程を詳細に観察するとともに, 重力感受部位と考えられる根冠の形態との関係を検討した. すなわち, 異なる生育段階に, 根端まで採取できた節根の出現部位 (トウモロコシは第4~9節, ソルガムは第7~10節) を同定し, 伸長角度を記録するとともに, 根長, 根端の直径および根冠の長さと幅を測定した. トウモロコシおよびソルガムのいずれの場合も, 節根は茎から出現した直後, 伸長に伴って下向きに屈曲したが, その様相は節位によって異なった. また, 節根の伸長に伴って根端直径や根冠の幅は減少していたが, 根冠の長さは逆に増加している場合があった. すなわち, 根の伸長に伴って根端の直径に対して根冠が相対的に大型化するとともに, 伸長角度が大きくなっていた. そこで, 根冠の長さ/根端直径比と伸長角度との関係をみると, 有意な正の相関関係が認められた. このように, 節根の下方向への屈曲と根冠の相対的な大型化とが時間的に対応していたことから, 根の伸長方向の変化を重力感受の観点から説明できる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 根研究学会
前の記事 次の記事
feedback
Top