ケイ酸には作物の各種ストレス耐性を高める効果があることが知られているが, 耐乾性に及ぼす影響については研究の遅れが指摘されている. これは, 既往の報告では, 蒸散に関わる形質に限定してケイ酸の効果が論じられてきたためである. 最近, 水吸収や水輸送に関する研究が行われはじめ, ケイ酸がそれらの性質にも関与していること, および, ケイ酸施用が植物種によって異なる影響を及ぼすことが示唆された. 一方, 組織や細胞レベルでの乾燥耐性にもケイ酸の関与が示唆されている. 本稿では最近の報告を中心にケイ酸と作物の耐乾性との関わりを整理し, 耐乾性を高めるためのケイ酸利用の可能性について検討した.