2005 年 14 巻 3 号 p. 99-104
近年日本で増加している, 北米南部原産の多年生雑草ワルナスビ (Solanum carolinense L.) は防除が困難である. 広く深い根系による栄養繁殖がその要因であると考えられることから, 根系の空間的構造, シュート発生とその制御機構, 個体内の物質分配様式, およびそれらから明らかにされた栄養繁殖戦略を示した. ワルナスビでは, 1. 根系は水平・垂直部より構成され, シュートは水平部から発生する, 2. シュート発生の内的な抑制が強く, 根からの発生期間は春の1ヶ月半に限られる, 3. シュートの分布拡大は根よりも遅い, 4. 多くの物質を根へ優先的に分配する, 5. クローン個体において, シュートは根系よりも親株周囲に多くの物質を分配率する. したがって, ワルナスビの栄養繁殖戦略は低リスクの保守型であり攪乱およびストレス耐性が強いと考えられる. よって完全な除去には長期間必要であることを前提として, 防除手段を選択する必要がある.