根の研究
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水稲の登熟期間における出液速度の品種間差異と地温の影響
大橋 善之静川 幸明
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2000 年 9 巻 2 号 p. 61-64

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抄録

水稲の根の生理活性が収量や玄米品質に及ぼす影響を明らかにするため, 玄米品質の異なる酒造好適米の五百万石及び祝とうるち米のフクヒカリ, 日本晴及び祭り晴の5品種を用いて登熟期間の出液速度を根系機能の指標として検討した. その結果, うるち米や酒造好適米という用途に対応した傾向は認められなかったが, 極早生品種では中生品種に比較して登熟に伴う出液速度の低下が小さかった. また, 出液速度を穂数で割って単位根数当たりの生理活性を推定して, 1穂当たりの出液速度と調査時の地温との関係を検討したところ, 両者の間には有意な正の相関が認められ, 単位根量当たりの生理活性が品種によらずほぼ一定であること, また, 地温の影響を大きく受けることが示唆された. 一方, 出液速度と収量 (精籾重) との関係については, 出穂期, 出穂20日後とも出液速度と収量との間には明らかな関係は認められなかった.

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