2014 年 36 巻 1 号 p. 13-21
年々増加する要介護高齢者に対する運動による身体機能の改善が数多く報告されているが,要介護高齢者に対して安全かつ効果的に運動器機能訓練を実施するためには,対象者の身体状況を理解しておく必要がある.本調査では,在宅要支援・要介護高齢者136人を対象として実施した形態,安静時心電図,血圧脈波,骨密度の測定結果をもとに,機能訓練実施前の健康スクリーニングの必要性と課題について検討した.測定結果から,各測定項目において全体の異常者の割合は,肥満度では35.3%,心機能および血管機能において1つでも異常値を示す者の割合はそれぞれ17.3%と90.4%であり,骨密度では79.4%であった.
運動に関与する心臓・血管・骨における異常値を示す者の割合が高いことから,要支援・要介護高齢者に対して,安全かつ効果的に機能訓練を実施するためには,運動負荷の設定には注意が必要であり,潜在疾患を十分に理解する必要性が再確認された.