老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
資料論文
多床室を有する特別養護老人ホームにおける感染管理活動
山地 佳代松田 千登勢佐藤 淑子江口 恭子長畑 多代
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2014 年 36 巻 3 号 p. 322-329

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抄録

 本研究の目的は,多床室を有する特別養護老人ホーム(以下,特養)における感染管理活動を明らかにすることである.全国の特養から無作為抽出した1,000施設の感染管理の責任者に対して,感染管理に関する郵送質問紙調査を行った(有効回答数203,有効回答率20.3%).

 ほとんどの施設において感染対策委員会が設置され定期的に開催されていたが,入居者の健康状態の把握は看護職のみが担っている施設が111(54.7%)あった.感染症発生経験のある施設はない施設よりも,感染管理のための定期的なラウンドを行っていた(p<0.05).感染対策マニュアルは自施設の実態に合うものだと175施設(86.2%)が回答していたが,感染症発生時の具体的フローを明示していない施設は62(30.5%)であった.新人職員への感染対策に関する研修は172(84.7%)施設において行われていた.

 これらのことから,特養の感染管理体制は整備されつつあるが,各施設における感染症発生を想定した,より具体的な取り組みを進めていく必要性が示唆された.

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© 2014 日本老年社会科学会
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