“かわいい”という語は,若者文化と結びつけて語られることが多い.本研究では,高齢者が感じる“かわいい”の特徴を明らかにし,若者文化で言及されるかわいいものに高齢者がどのように反応するかを検討した.地域高齢者20人にインタビュー調査を行い,“かわいい”の概念についてたずねるとともに,若者に人気のあるキャラクターに対する印象をたずねた.質的内容分析の結果,祖父母としての社会的役割や孫との関係性が,孫だけでなく,孫以外に対する“かわいい”感情にも影響すること,長年の人生経験が“かわいい”と感じる対象に影響することが示された.また,キャラクターの人形はなじみが薄く,かわいいとは感じないと答える者が約半数いた.本研究の結果,高齢者では,表情やしぐさに比べて,動きのない見た目の特徴をかわいいと感じることは減るが,かわいいと感じること自体はポジティブな感情として評価されることが示された.