宗教研究
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宗教学からみたイスラム研究(<特集>イスラームと宗教研究)
中村 廣治郎
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2004 年 78 巻 2 号 p. 217-242

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抄録

これまで宗教学の発展はイスラム抜きでなされてきた。それが結果的に宗教学の理論を偏頗なものにした、と指摘されてきた。他方、日本のイスラム研究をこれまで支えてきたのは、主に歴史学者、それも東洋史学者であり、そこに宗教学者が関わることはきわめて少なかった。本稿は、宗教学の基本原則からみて、そのようなイスラム研究のどこに問題点があるのか、を考えてみようとするものである。まず「宗教学の基本原則」を明らかにする。次いで、代表的なイスラム地域研究者である小杉泰氏の著作を幾つか取り上げ、彼の宗教の見方を明らかにし、それが彼のイスラム理解にどのように関わってくるのか、さらに彼のいう「理念=現実論」、「歴史の非歴史性」、「イスラム法学の革新」を宗教学的に検討し、そこにどのような問題があるかを考えてみたい。

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© 2004 日本宗教学会
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